AI受託開発とは?費用相場・会社の4タイプ・選び方と見積もりチェックリスト【2026年版】

2026.09.14|ノウハウ|文: 中元 亨

「AIを使った仕組みを外部に頼みたいが、見積もりが80万円から数千万円までばらばらで比較できない」「PoCで終わって本番に進まないと聞くが、どう避ければよいのか」——AI受託開発を検討し始めた担当者から、こうした相談を受けることが増えました。社内にAIを理解する人がいない中で、開発会社の提案を評価する軸がないのが実情です。

先にお伝えしたいのは、AI受託開発で最初に決めるべきなのは会社名ではない、ということです。決めるべきは「相談・PoC・本開発のどこまでを頼むのか」と「何を合格とするのか」の2つです。AI開発は一般のシステム開発と違い、完成の定義が「目標精度への到達」で、成果を事前に保証できません。だから工程を分けて小さく確かめ、初期費用ではなく運用まで含めた総額で比較する必要があります。

この2つを決めてから会社を見ると、見積もりの幅の正体がわかります。既存のLLMやAPIを組み込む構成と、独自モデルを一から学習させる構成では費用が桁で違いますし、会社にも構想型・技術特化型・実装型・伴走型の4つのタイプがあります。自社の段階と課題に合うタイプを選べば、AI専業ベンダーに高額で頼まなくても、業務システムへのAI組み込みは進められます。

当社TALENTBASE VIETNAMは2018年からホーチミンで約100社の開発を支援し、LLMを組み込んだコンシューマー向けAIチャットボットをはじめ、決済アプリやマッチングアプリを開発してきました。本記事では、AI受託開発の定義と一般開発との違い、費用の決まり方とランニングコスト、会社の4タイプと選び方、見積もりのチェックリスト、そして当社のAI開発体制の順で整理します。

読み終えるころには、自社の案件をどの工程からどのタイプの会社に頼むべきか、見積もりのどこを見れば妥当性を判断できるかが、社内に説明できる形で整理できているはずです。まずは「AI受託開発とは何か」から確認していきましょう。

目次
  1. AI受託開発とは
  2. 結論: AI受託開発は「目標精度に到達する」開発で、成果を事前に保証できないから工程を分ける
  3. 一般のシステム開発・AI導入支援(コンサル)との違い
  4. 依頼できること
  5. 開発の流れ6段階と、外注するメリット・限界
  6. AI受託開発の費用相場
  7. 工程別・規模別に何が含まれるか(表): 金額ではなく作業範囲で比べる
  8. 費用を左右する5つの要因
  9. AI特有のランニングコスト
  10. 初期費用ではなく総保有コストで比べる
  11. AI受託開発会社の4つのタイプと選び方
  12. 先に決めるのは発注の到達点
  13. 4つのタイプ(表): 構想・業務設計型、AI技術特化型、システム実装型、伴走・人材提供型
  14. 選び方の3軸
  15. AI専業ベンダーでなくてよい案件
  16. AI受託開発の見積もりで確認するチェックリストと、失敗を避ける発注のコツ
  17. 見積書で確認する10項目
  18. PoC止まりを防ぐ3つのコツ
  19. 精度の比べ方とデータ・セキュリティの確認
  20. 受託開発が過剰なケース
  21. 当社のAI受託開発
  22. 実績: LLMを組み込んだコンシューマー向けAIチャットボット、決済・マッチング・求人プラットフォーム
  23. 体制と単価(表): AI活用開発体制、AWS認定11冠の生成AIスペシャリスト、日本人PMのレビュー、相場の約1/2
  24. 請負型とラボ型の使い分け
  25. 進め方: 要件整理→PoC→本開発→運用改善を、日本国内の契約で
  26. AI受託開発に関するよくある質問
  27. Q1. AI受託開発の期間はどのくらいかかる?
  28. Q2. PoCだけを依頼することはできる?
  29. Q3. 精度は保証してもらえる?
  30. Q4. AI開発に使える補助金はある?
  31. Q5. 小さく始めるにはどうすればよい?
  32. まとめ: AI受託開発は「どこまで頼むか・何を合格とするか」を先に決め、総額で比較して段階的に進める

AI受託開発とは——一般のシステム開発との違い、依頼できること、開発の流れ

AI受託開発の工程(要件定義・PoC・本開発・運用)を説明する場面

AI受託開発とは、機械学習やLLM(大規模言語モデル)を組み込んだシステムの構築を、外部の開発会社に依頼することです。言葉としては一般の受託開発にAIが付いただけに見えますが、進め方と費用の考え方はかなり違います。この章では、その違いと、実際に何を依頼できるのか、どんな流れで進むのかを整理します。

結論: AI受託開発は「目標精度に到達する」開発で、成果を事前に保証できないから工程を分ける

一般のシステム開発は、仕様どおりに動けば完成です。AI開発は違います。完成の定義は「目標とする精度に到達したか」で、その精度は投入するデータの質と量に左右されます。着手前に「正答率100%」を約束できないので、多くのプロジェクトでは本開発の前にPoC(概念実証)という検証工程を挟みます。

もう1つの違いは、作って終わりではないことです。AIはデータや利用状況の変化で精度が動くため、運用しながら再学習と改善を続けます。初期構築と同じくらい運用の設計が重要で、費用も運用側の比重が高くなります。この2点を押さえずに一般開発と同じ感覚で発注すると、PoCで止まるか、運用費で予算が破綻するのが実情です。

一般のシステム開発・AI導入支援(コンサル)との違い

比較軸

一般のシステム開発

AI受託開発

AI導入支援(コンサル)

目的

仕様どおりのシステムを作る

目標精度のAIを組み込んだシステムを作る

何をAI化するか、業務と戦略を整理する

完成の定義

仕様どおり動作

目標精度に到達

方針・計画・優先順位の合意

事前の成果保証

しやすい

しにくい(検証が前提)

該当なし

運用フェーズ

保守が中心

再学習・精度改善が継続

定着支援・研修

コスト構造

初期費用が中心

運用費の比重が高い

期間契約

AI導入支援は「何をAIで解決するか」を決める段階の支援で、受託開発はそれを実装する段階です。課題が固まっていない会社が実装中心の開発会社に相談すると、曖昧な要望を前提に見積もることになります。逆に要件もデータも整っているのに構想整理を長く続けると、実装まで遠回りです。自社がどちらの段階にいるかを先に見極めてください。

依頼できること——既存LLM・APIを組み込む開発と、独自モデルを作る開発の2系統

依頼できる内容は、大きく2つの系統に分かれます。1つは、既存のLLMや外部APIを組み込む開発です。社内文書を検索して回答するチャットボット(RAG)、問い合わせのFAQ自動応答、文書の要約・分類、帳票の自動入力といった用途で、モデルを一から学習させないため比較的安く早く作れます。当社が開発したコンシューマー向けAIチャットボットもこの系統で、LLMを組み込み、24時間対応できるスケーラブルな設計にしました。

もう1つは、独自のモデルを学習させる開発です。製造業の外観検査、小売の需要予測とレコメンド、金融の不正検知、医療の画像診断支援などで、自社のデータで学習させるため、データ収集と整備の工数が大きく、費用も高くなります。同じ「AI開発」でも、この2系統のどちらかで費用は桁で変わります。自社の用途がどちらに当たるかは、次章の相場を読む前提になります。

開発の流れ6段階と、外注するメリット・限界

AI受託開発は、課題ヒアリングと要件定義、データ収集とアセスメント、PoC、モデル開発・学習(またはLLMの組み込みと調整)、システム実装とインテグレーション、運用・保守・再学習の6段階で進みます。段階ごとに費用と成果物が違うので、見積もりもこの単位で読みます。

外注のメリットは、AIの専門知見と実装のスピードを、社内にAI人材を抱えずに得られることです。一方で限界もあります。データは発注側にしかなく、精度の合格条件を決めるのも業務を知る発注側です。丸投げでは進みません。私が見てきた失敗の1つは、精度を「高精度」という言葉で約束させたまま本開発に進み、誤回答が出たときの運用を設計していなかったために現場が使わなくなったケースです。では、工程ごとに費用はどのくらいかかるのでしょうか。

AI受託開発の費用相場——工程別の内訳とAI特有のランニングコスト(2026年時点)

AI受託開発の費用相場とランニングコストを試算する手元

AI受託開発の見積もりが案件によって大きく振れるのは、工程と構成が違うからです。この章では工程別・規模別に何が含まれるか、費用を左右する要因、AI特有のランニングコストを整理し、最後に「総保有コストで比べる」という結論に至る理由を示します。他社が独自に集計した相場表は載せません。相場の数値は出所をたどれないことが多く、自社の要件と作業範囲が違えば比較の役に立たないからです。金額は、自社の要件をこの章の5つの要因に当てはめ、複数社の見積書を同じ作業範囲で並べて判断してください。

工程別・規模別に何が含まれるか(表): 金額ではなく作業範囲で比べる

工程・規模

主な内容

見積書で必ず分けて書かせる単位

コンサル・要件定義

課題の整理、目標精度の設定、データの確認

成果物(要件定義書・目標精度の定義)

PoC(検証)

限定した業務とデータで実現可能性を確認

対象業務の範囲、使うデータ、合格条件

小〜中規模の本開発

単機能〜業務連携を含むAIシステム

連携先システムの本数、移行するデータ量

大規模の本開発

基幹連携・大量データ・複数機能

機能単位の内訳、段階リリースの区切り

運用保守

精度監視、再学習、改善、障害対応

月額に含まれる作業と、含まれない作業

工程ごとの金額は、構成(既存LLMのAPIを組み込むか、独自モデルを学習させるか)、整備が必要なデータの量、既存システムとの連携本数で桁が変わります。当社が公開している単価は、エンジニア1名あたり月額で実務3年1,500USD、5年2,000USD、ブリッジSE3,000USD(1USD=150円換算が目安)です。最小構成は日本人PM+2〜3人月で月額約80万円からで、市場相場の約1/2(当社調べ)に当たります。要件定義にも相応の費用がかかりますが、ここを省いた安い提案は後工程の手戻りで総額が膨らみます。

費用を左右する5つの要因——構成・データ・連携・セキュリティ・体制

同じ用途でも費用が変わる要因は5つあります。第一に構成です。既存LLMのAPIを活用する構成は、独自にモデルを学習させる構成より大幅に安く済みます。第二にデータ整備で、収集・整形・ラベル付けを誰が担うかで工数が変わります。第三に既存システムとの連携で、基幹システムや権限管理と接続する範囲が広いほど高くなります。

第四にセキュリティ要件です。個人情報や機密情報を扱う場合、データの送信先や保存場所の制約が設計を複雑にします。第五に体制で、AI専業ベンダーと、システム実装型の会社、海外のチームでは人月単価が違います。当社の場合、開発チームが生成AIとAIコーディング支援ツールを活用し、市場相場の約1/2の単価で対応しています。

AI特有のランニングコスト——API利用料・クラウド・再学習・監視

AI開発には一般のシステムにない継続コストがあります。初期見積もりに現れにくく見落とされがちなので、発注前に必ず試算を求めてください。

項目

費用の性質

見落としの注意点

API利用料

利用量に比例

利用者や処理回数が増えると月額が何倍にもなる

クラウド費用

処理量・保存量に比例

常時稼働で固定的に発生

再学習費

定期的に発生

時間の経過で精度が落ちるため精度維持に不可欠

監視・保守

月額固定が多い

障害対応の範囲を確認

AI受託開発の費用構造——要件定義・PoC・本開発の初期費用と、API利用料・クラウド・再学習・監視のランニングコストを総保有コストで比べる

特にAPI利用料は、外部のLLMを呼び出すたびに課金されるため、利用者が増えると想定の何倍にもなります。「月額いくらか」ではなく「想定利用量ならいくらか」で聞くと実態に近い数字が見えます。試算を出せない会社は運用を軽視している可能性があり、要注意です。

初期費用ではなく総保有コストで比べる

以上を踏まえると、比較すべきは初期費用ではなく、運用まで含めた総保有コストです。「初期は安いが運用が高い」提案と「初期は高いが運用が軽い」提案は、数年単位で逆転することがあります。運用保守費とAPI利用料(利用量に比例します)を各社に同じ前提で見積もらせ、3年分の総額で並べてください。

もう1つ、初期費用だけで会社を選ぶと、要件定義とPoCを省いた提案が最も安く見えます。しかしAI開発で最も多い失敗は、要件が曖昧なまま本開発に進んで手戻りが出ることと、PoCで検証したまま本番に進まないことです。安さの裏で何が省かれているかを見抜くために、次章では会社のタイプと選び方を整理します。

AI受託開発会社の4つのタイプと選び方——会社名より先に「どこまで頼むか」を決める

AI受託開発会社のタイプを比較して選ぶ担当者

検索すると「AI受託開発会社○○選」という一覧が並びますが、掲載順は自社との適合性を示しません。会社を比較する前に決めるべきことがあり、それを決めると比較の軸が自然に絞れます。この章では、発注の到達点の決め方、会社の4タイプ、選び方の3軸を順に示します。

先に決めるのは発注の到達点——業務整理・PoC・本開発・運用のどこまでか

AI導入は、業務の整理(何をAI化するかしないかの切り分け)、検証(PoC)、本開発、運用・定着の4段階で進みます。今回の依頼がどの段階までかを先に決めてください。段階によって合う会社が変わるからです。

課題が固まっていない段階で実装中心の会社に相談すれば、曖昧な要望を前提に見積もられます。逆に要件もデータも整っているのに構想整理を続ければ遠回りです。私が最初にお聞きするのも会社の希望ではなく、「どこまでを今回の到達点にするか」と「何をもって合格とするか」の2つです。これが決まっていれば、見積もりは同じ条件で比較できます。

4つのタイプ(表): 構想・業務設計型、AI技術特化型、システム実装型、伴走・人材提供型

タイプ

向いている状況

比較時の確認点

構想・業務設計型

何をAI化するか決まっていない

現場ヒアリング、優先順位づけ、AI以外の解決案も示すか

AI技術特化型

画像認識・需要予測・独自モデルなど技術課題が明確

類似技術の知見、精度の評価方法、必要なデータ

システム実装型

既存システムとの連携や、LLM・APIを組み込む業務システムまで必要

API連携、権限、監視、障害対応の範囲、レビュー体制

伴走・人材提供型

社内担当者と一緒に進めたい、内製化したい

稼働量、役割分担、担当者変更時の引き継ぎ

実際には複数のタイプを兼ねる会社も多いので、看板ではなく「今回の案件で誰が何を担当するか」を確認します。内製チームがあるなら不足する専門領域だけを借り、社内に進行役がいないなら業務整理と進行管理を含む体制を選ぶのが基本です。

選び方の3軸——近い課題の実績、要件定義力、運用体制

タイプを絞ったら、3つの軸で見極めます。第一に実績で、AI開発の件数ではなく、自社に近い業種・課題を扱った経験があるかを見ます。抽象的な「AI導入支援」の実績だけでは判断材料になりません。

第二に要件定義力です。これは初回の商談で見極められます。良い会社はすぐ見積もりを出さず、課題や業務の背景を丁寧に聞き、「何を実現したいか」を一緒に整理します。AI化できる範囲だけでなく、ルール整備で済む工程や、データ不足で今は進められない工程も示す提案が信頼できます。

第三に運用体制で、「作った後に精度が落ちたら誰がどう対応するか」を契約前に明確に答えられるかを確認します。ここが曖昧な会社に頼むと、PoC止まりや放置のリスクが上がります。価格ではなく要件定義力と運用体制で選ぶのが基本で、安さを前面に出す会社ほどこの2つの説明が薄いのは要注意です。

AI専業ベンダーでなくてよい案件——LLM・APIを組み込む業務システム

最後に、誤解されやすい点を1つ補足します。「AI受託開発はAI専業ベンダーに頼むもの」と思われがちですが、それが必要なのは独自モデルの研究開発が要る案件です。チャットボット、RAG、文書要約、業務自動化のように既存のLLMやAPIを組み込む開発は、レビュー体制のあるシステム実装型の会社が担える領域で、当社もこの領域で受託しています。

自社の案件がどちらに当たるか、そしてどの段階まで頼むのかが決まれば、依頼先はかなり絞れます。では、絞った会社から出てきた見積もりは、どこを見れば妥当性を判断できるのでしょうか。

AI受託開発の見積もりで確認するチェックリストと、失敗を避ける発注のコツ

AI受託開発の見積書をチェックリストで確認する場面

見積もりは金額の大小ではなく、「何が含まれ、何が含まれないか」で読みます。同じ金額でも運用や再学習が含まれるかで実質の費用は大きく変わり、「AI開発一式」という書き方では完成の基準を共有できません。この章では確認項目と、PoC止まりを防ぐ発注のコツ、精度とデータの確認点をまとめます。

見積書で確認する10項目——成果物・対象外・検収条件・追加費用・成果物の権利

複数社の見積もりを横並びにして、次の項目を確認してください。抜けている項目は、そのまま後からの追加費用になります。

  1. 要件定義・画面・AI部分・連携・テストの費用が分かれているか
  2. PoCの成果物はコード・報告書・デモのどれか、本番利用できるものか検証専用か
  3. 精度を測るデータと評価指標を誰が用意するか
  4. データの収集・整形・ラベル付けは見積もりに含まれるか
  5. 外部LLMやクラウドの利用料は別途か、想定利用量での月額試算があるか
  6. 再学習の頻度と費用が明記されているか
  7. 仕様変更を追加費用とする境界はどこか、不具合修正との区別はどうするか
  8. ソースコード・設定・手順書の引き渡し範囲はどこまでか
  9. 開発したモデルやプログラムの権利は発注側にあるか
  10. 保守の対応時間・窓口・対象外の作業は何か

特に見落としやすいのが成果物の権利です。曖昧なままだと他社への乗り換えが難しくなり、失敗のもとです。PoCの「動くデモ」と本番運用の間には距離があります。本番では権限管理、例外処理、ログ、監視が要るので、PoC見積もりに本番化が含まれなくても、次段階の条件は先に確認してください。

PoC止まりを防ぐ3つのコツ——目的を1つに、合格条件を先に、運用への道筋

AI開発で最も多い失敗は、PoCで検証したまま本運用に進まないことです。防ぐコツは3つあります。第一に、検証する課題を最も効果が見込める1つに絞ることです。「あれもこれも」と盛り込むほど検証が複雑になり、結論が曖昧になります。

第二に、成功基準を先に決めることです。「精度が何%を超えたら本開発へ進む」「誤回答は人が確認する運用でよいか」といった線引きを、PoCを始める前に合意しておくと、結果の解釈で議論が止まりません。第三に、PoC後の本開発と運用の計画をセットで描くことです。小さく作って運用に乗せる発注設計が、費用対効果を左右します。

精度の比べ方とデータ・セキュリティの確認

精度は「高精度を目指す」という言葉ではなく、業務上の合格条件と人が確認する範囲で比べます。文章の下書きなら人が修正する運用を組み込めますが、金額や契約判断に関わる処理では、誤りを検知して人に戻す設計が欠かせません。精度を保証しない会社が悪いとは限らず、限界と例外を具体的に説明する会社の方が、運用を現実的に設計している場合が多いというのが私の見方です。

データについては、何をどこへ送り、誰が見られ、いつ消すかを確認します。学習や検証への二次利用、保存場所と期間、再委託先、外部AIサービスへの送信、契約終了時の削除が確認対象です。最初から本番データを渡さず、公開情報やダミーデータで検証し、本番接続前に管理条件を固める進め方も選べます。

受託開発が過剰なケース——市販ツールや社内整理で済む段階

最後に、受託開発を急がなくてよいケースも挙げておきます。対象業務の責任者と利用者が決まっていない、改善したい工程を説明できない、検証に使えるデータも用意する担当者もいない、開発後の運用担当を置けない、独自開発が必要な理由を既製品と比較していない。この5つのどれかに当てはまるなら、まず社内整理か既製品の試用からで十分です。議事録の自動化のように市販ツールで解決できる業務に、受託開発は過剰です。

会社を絞り、見積もりを読み、PoCの設計ができれば、AI受託開発の失敗の大半は避けられます。次章では、当社がこの流れをどう提供しているかをお示しします。

当社のAI受託開発——LLM組み込みチャットボットの実績と、日本人PM付きで相場の約1/2の体制

TALENTBASE VIETNAMの日本人PMとエンジニアがAIチャットボットをレビューする開発現場

当社TALENTBASE VIETNAMは、2018年からホーチミンで約100社の開発を支援してきました。前章までの分類でいえば「システム実装型」で、既存のLLMやAPIを組み込む業務システム・アプリの開発を、日本人PMがフロントに立つ体制で請け負っています。この章では実績、体制と単価、契約形態の使い分け、進め方を示します。

実績: LLMを組み込んだコンシューマー向けAIチャットボット、決済・マッチング・求人プラットフォーム

直近の実績には、LLMを組み込んだコンシューマー向けAIチャットボットがあります。24時間対応できるスケーラブルな設計とし、利用者の増加に合わせて処理を拡張できる構成にしました。AI以外では、GPS対応の求人とチャット・勤怠管理を備えたマッチングアプリ、Stripeなどの決済代行APIを統合し二要素認証とウォレット機能を持つ決済アプリ、求人票作成から応募者追跡までを一元管理する求人プラットフォーム、ヘッドレスCMS構成のコーポレートサイトを開発しています。

AI機能は単体で動くものではなく、認証・決済・データベース・管理画面といった業務システムの上に載ります。当社の強みは、AI部分だけでなく、その土台のアプリケーションごと設計・実装・運用できることです。詳しくは当社の開発事例ページをご覧ください。

体制と単価(表): AI活用開発体制、AWS認定11冠の生成AIスペシャリスト、日本人PMのレビュー、相場の約1/2

項目

当社の体制

開発体制

開発チームが生成AI・AIコーディング支援ツールを積極活用し、相場の約1/2の単価のまま開発スピードと品質を高める

アーキテクチャ

AWS認定資格11冠のクラウド/生成AIスペシャリストが、堅牢でセキュアな設計を担当

品質の仕組み

日本人PMの設計レビュー(仕様の認識ズレを上流で防ぐ)、Gitのプルリクエストによるコードレビューの標準化、リリース前のエンジニアと日本人PMのダブルチェック

対応スコープ

要件定義・仕様作成・UI/UXデザイン・実装(Web・モバイル・業務システム)・テスト・保守運用

単価の目安

実務3年目安 月額1,500USD(約22.5万円)、5年 2,000USD、10年・ブリッジSE 3,000USD(約45万円)。1USD=150円換算目安

契約・支払い

日本国内の法人と日本法準拠で契約、海外送金不要。時差2時間

AI受託開発の依頼範囲の切り分け(業務整理・PoC・本開発・運用)と会社の4タイプ、当社の請負型とラボ型の使い分け

前章で「安さの裏で何が省かれているかを見る」とお伝えしました。当社の単価が相場の約1/2なのは、要件定義やレビューを省いているからではなく、ベトナムの人財とAI活用で開発の手を効率化しているからです。設計レビュー、コードレビュー、ダブルチェックは全案件で標準化しており、体制表の項目はそのまま見積もりの内訳として提示します。

請負型とラボ型の使い分け——仕様が固まった機能は請負、要件が動くAI機能はラボ型

契約形態は2つあります。請負型は、仕様と納期が明確で、プロジェクト単位で予算を確定し、完成物の検収で管理したい場合に向きます。ラボ型は、要件が固まりきっていない、継続的な開発体制が必要、優先順位を柔軟に変えたい場合に向きます。

AI機能の開発は、PoCの結果で仕様が動き、リリース後も精度改善を続けるため、ラボ型の専属チームで進める方が合う案件が多いのが実情です。一方、PoCで仕様が固まった機能や、明確な要件のあるシステム部分は請負型で予算を確定できます。要件整理とPoCをラボ型で回し、本開発を請負型で確定する組み合わせも可能です。契約の違いは準委任と請負の違いで解説しています。

進め方: 要件整理→PoC→本開発→運用改善を、日本国内の契約で

当社の進め方は、要件と合格条件の整理、PoC、本開発、運用改善の4段階です。最初にお聞きするのは「どこまでを今回の到達点にするか」と「何をもって合格とするか」で、ここが決まれば工程別の見積もりをお出しします。現在の体制と要件をお聞かせください。PoCから本開発までの概算見積もりでお答えします。

AI受託開発に関するよくある質問

AI受託開発の相談に答える担当者

AI受託開発の相談で、費用や期間、精度の保証、補助金についてよく受ける質問を5つまとめました。見積もりを依頼する前の社内説明や、開発会社との初回打ち合わせの準備にお使いください。

Q1. AI受託開発の期間はどのくらいかかる?

構成によって大きく変わるため、一律の目安は示していません。既存LLMのAPIを組み込む構成なら短く、独自モデルの学習を伴う構成やデータ整備が必要な案件は長くなります。期間を左右するのは、合格条件が先に決まっているか、学習と検証に使えるデータが手元にあるか、連携先のシステムが何本あるかの3点です。

Q2. PoCだけを依頼することはできる?

できます。多くの会社がPoC単体の契約を受けており、当社も対応しています。ただし、PoCの成果物(コード・報告書・デモ)と、本開発へ進む条件を先に決めておくことが前提です。

Q3. 精度は保証してもらえる?

事前の保証は原則できません。精度はデータの質と量に依存するためです。代わりに、業務上の合格条件と、誤った場合に人が確認する範囲を決め、PoCで到達できるかを確かめます。

Q4. AI開発に使える補助金はある?

中小企業向けのデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)やものづくり補助金などが該当し得ます。対象・補助率・上限は年度と枠で変わるため、公募要項で確認してください。

Q5. 小さく始めるにはどうすればよい?

最も効果が見込める業務を1つ選び、既存LLMのAPIを活用する構成でPoCから始める形です。目的を1つに絞り、合格条件を先に決め、本開発と運用の計画をセットで描くのが、小さく始めて確実に本番へ進める進め方です。

まとめ: AI受託開発は「どこまで頼むか・何を合格とするか」を先に決め、総額で比較して段階的に進める

AI受託開発は、完成の定義が「目標精度への到達」で、成果を事前に保証できない開発です。だから会社名より先に、相談・PoC・本開発のどこまでを頼むのかと、何をもって合格とするのかを決めてください。この2つが決まれば、見積もりは同じ条件で比較でき、PoC止まりも防げます。

費用は工程と構成で決まります。当社の公開単価は、エンジニア1名あたり月額で実務3年1,500USD、5年2,000USD、ブリッジSE3,000USD(1USD=150円換算が目安)、最小構成は日本人PM+2〜3人月で月額約80万円からです。既存LLMやAPIを組み込む構成は独自モデルを作る構成より大幅に安く、API利用料や再学習などのランニングコストを含めた総保有コストで比べるのが要点です。会社は構想型・技術特化型・実装型・伴走型の4タイプから自社の段階に合うものを選び、近い課題の実績・要件定義力・運用体制で見極めてください。

LLMやAPIを組み込む業務システムやアプリの開発なら、AI専業ベンダーでなくても進められます。当社はLLM組み込みのAIチャットボットをはじめとする開発実績と、日本人PMの設計レビュー・コードレビュー・ダブルチェックの体制で、相場の約1/2の単価で請け負っています。受託開発の基本は受託開発とは、会社選びの一般論はシステム開発会社の選び方、アプリ開発の費用構造はアプリ開発の費用相場もあわせてご覧ください。現在の要件をお聞かせいただければ、PoCから本開発までの概算見積もりでお答えします。

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