ベトナムの人件費は日本の何分の1?平均給与・エンジニア相場・総人件費【2026年】

2026.09.14|ベトナム基礎知識|文: 中元 亨

『ベトナムは人件費が安い』——そう聞いて調べ始めたものの、平均月収5万円という数字と、オフショア開発会社から届いた月40万円台の見積もりの間に、どうにも埋まらない差を感じている方は多いのではないでしょうか。安いはずなのに、なぜ単価はその何倍にもなるのか。円安と賃上げで、いまも本当に安いのか。

結論から言うと、ベトナムの人件費は2026年時点でも日本の3〜8分の1程度と確かに低いのですが、「給与=人件費」と考えると必ず計画が狂います。給与には会社負担の法定費用(21.5%+労働組合費2%)、13か月目給与、テトボーナス、福利厚生、採用・離職コストが乗り、雇用主が実際に払う総人件費は額面の1.3〜1.5倍になります。ITエンジニアに限れば日本の2〜3分の1で、日本語ができる人財はさらに高い。しかも毎年5〜10%ずつ上がっています。

この構造を押さえておけば、「安いと聞いたのに違った」という失敗は防げます。統計の平均月収と最低賃金を下限として読み、職種別の相場を総人件費に直し、上昇と為替を織り込んだうえで、オフショア開発・雇用代行・現地法人のどの形で使うかを費用の出方で選ぶ。そこまでできて初めて、ベトナムの人件費は事業計画に使える数字になります。

この記事では、①平均月収・地域別最低賃金・都市別の水準、②職種別とITエンジニアの給与相場、③法定費用・賞与・福利厚生・離職コストを含む総人件費の計算例、④アジア各国・日本との比較と推移・円安の影響、⑤オフショア・雇用代行・現地法人の費用の出方と当社の単価の内訳、の順で整理します。

私は2018年からホーチミンに住み、約100社の日系企業に2,000名以上のIT人財データベースから人財を紹介してきました。当社が公開している月額単価に何が含まれているかも、現地の給与相場と並べて包み隠さず書きます。ベトナムの人件費を「安い」の一言ではなく、内訳で判断したい方はこのまま読み進めてください。

目次
  1. ベトナムの人件費は日本の何分の1?
  2. 結論: 日系企業の現地スタッフで日本の3〜8分の1、ITエンジニアは2〜3分の1
  3. 平均月収と年収
  4. 地域別最低賃金(2026年1月改定)
  5. 都市別の差——ホーチミン・ハノイ・ダナン
  6. 職種別の人件費とITエンジニアの給与相場
  7. 業界別・職種別の月収目安
  8. ITエンジニアの給与
  9. 日本語人財のプレミアムと管理職の相場
  10. 現地給与とオフショア単価の関係
  11. 給与に上乗せされる費用
  12. 法定費用——会社負担21.5%+労働組合費2%
  13. 13か月目給与とテトボーナス
  14. 福利厚生と手当
  15. 採用・教育・離職コスト
  16. 計算例: 月給1,000万VNDのスタッフの年間総人件費
  17. アジア各国・日本との比較と今後の推移
  18. アジア各国との比較
  19. 最低賃金と給与の推移
  20. 円安の影響——円建ての人件費はどう変わったか
  21. 今後の見通し
  22. ベトナムの人件費をどう活かすか
  23. 3つの形の比較
  24. オフショア開発(ラボ型)
  25. 雇用代行(EOR)
  26. 現地法人——長期・多人数なら
  27. 人件費の安さだけで選ばない
  28. 【FAQ】ベトナムの人件費に関するよくある質問
  29. ベトナムの人件費は日本の何分の1ですか?
  30. ベトナムの最低賃金はいくらですか?
  31. ベトナム人エンジニアの給与はいくらですか?
  32. 社会保険の会社負担は何%ですか?
  33. ベトナムの人件費は今後も上がりますか?
  34. まとめ: ベトナムの人件費は総人件費で見る

ベトナムの人件費は日本の何分の1?——平均月収・最低賃金・都市別の水準【2026年】

ベトナムの平均月収と最低賃金を確認する手元

『結局、日本の何分の1なのか』——最初に知りたいのはこの倍率だと思います。答えは職種で大きく変わるので、まず全体の水準を統計で押さえ、次に最低賃金と都市別の差を見ていきます。統計の平均と最低賃金は「下限」として読むのがコツです。

結論: 日系企業の現地スタッフで日本の3〜8分の1、ITエンジニアは2〜3分の1

ベトナム統計総局の家計生活水準調査2024では、1人あたりの月間平均所得は542万VND(約3万円、前年比+9.1%)でした。日系企業が実際に払う給与で見ると、JETRO「2025年度 海外進出日系企業実態調査」のベトナムの月額基本給は、製造業の作業員が302USD(約4.5万円)、非製造業のスタッフが784USD(約11.8万円)です。日本の現金給与総額は月35万5,919円(厚生労働省「毎月勤労統計調査」2025年分結果速報・就業形態計)ですから、職種によって日本の3〜8分の1の幅に収まります。

ただし、これは全産業をならした数字です。ITエンジニアはこれを大きく上回ります。求人サイトITviecが2024年9〜10月に2,324人を対象に行った調査では、バックエンド開発者(経験6年)の月給中央値は3,560万VND(約21万円)。日本の一般労働者の現金給与総額46万5,895円(厚生労働省・同調査)と比べると2〜3分の1です。テックリードは5,800万VND(約35万円)、CTO/CIO級は9,600万VND(約58万円)で、上位職ほど差は縮みます。「全部の職種で圧倒的に安い」という認識は、2026年には通用しないのが実情です。

平均月収と年収——統計総局の数字の読み方

統計総局の1人あたり月間平均所得542万VND(年収換算 約6,500万VND、約39万円)は、都市部と農村部、全産業をならした数字です。日本企業が採用する事務職・技術職・管理職はこれをはるかに上回ります。同じ調査でも都市部は689万VND、農村部は451万VNDと1.5倍の開きがあり、省・市別ではビンズオン省894万VND、ハノイ市755万VND、ホーチミン市711万VNDが上位です。

もう1点、円換算のレートに注意してください。本記事のVND建ての円換算は1VND=0.006円、USD建ての円換算は1USD=150円を目安としています。為替が動けば円建ての人件費も動くため、古い記事の円換算をそのまま使うと見積もりを誤ります。

地域別最低賃金(2026年1月改定)——4区分と下限の意味

ベトナムの最低賃金は地域Ⅰ〜Ⅳの4区分で、2026年1月1日から政令293/2025/NĐ-CPにより平均7.2%引き上げられました。日系企業の多いホーチミン市・ハノイ市の都市部は地域Ⅰです。

地域

月額最低賃金(2026年1月〜)

円換算

主な対象

地域Ⅰ

531万VND

約3.2万円

ホーチミン市・ハノイ市の都市部

地域Ⅱ

473万VND

約2.8万円

両市の郊外、ダナン市など

地域Ⅲ

414万VND

約2.5万円

各省の市・県中心部

地域Ⅳ

370万VND

約2.2万円

農村・地方部

同じ政令で時間給の最低賃金も定められ、地域Ⅰ25,500VND・地域Ⅱ22,700VND・地域Ⅲ20,000VND・地域Ⅳ17,800VNDです。ただし最低賃金はあくまで下限で、実際の給与はこれを大きく上回ります。JETROの調査では、ベトナムの製造業作業員の月額基本給は302USD(約4.5万円)、非製造業スタッフは784USD(約11.8万円)でした。「最低賃金が3.2万円だから3.2万円で雇える」と考えるのは失敗のもとです。

都市別の差——ホーチミン・ハノイ・ダナン

同じベトナムでも、どこに出るかで人件費は変わります。JETRO「2025年度 海外進出日系企業実態調査」(賃金は2025年8月時点)では、製造業作業員の月額基本給はホーチミン市が379USD(約5.7万円)で国内最高、ハノイ市321USD、ダナン市233USDです。非製造業スタッフではハノイ市822USD、ホーチミン市804USD、ダナン市472USDと順位が入れ替わります。

都市

製造業・作業員

非製造業・スタッフ

特徴

ホーチミン市

379USD

804USD

外資・日系の集積地。IT・管理職の採用競争が激しい

ハノイ市

321USD

822USD

政府機関・大企業の本社機能。大卒エンジニアの採用がしやすい

ダナン市

233USD

472USD

両市よりコストが低い

ハイフォン市・ドンナイ省

299USD / 307USD

製造業の集積地

(参考)ベトナム全体

302USD

784USD

JETRO調査の平均値

私はホーチミンに住んでいますが、IT人財に限ればホーチミンとハノイの差は小さく、むしろ日本語ができるかどうかで給与が変わります。都市の差より職種と語学力の差のほうが大きい。次の章では、その職種別の相場を見ていきます。

職種別の人件費とITエンジニアの給与相場——経験年数・日本語力で差がつく

ホーチミンのIT企業で働くベトナム人エンジニアのチーム

人件費が安いのは、正直なところ製造ラインと一般事務までです。職種が上がるほど日本との差は縮まり、ITエンジニアはシニア層で日本の半分に近づきます。ここでは業界別・職種別の目安を押さえたうえで、当社の専門領域であるITエンジニアの相場を経験年数と日本語力で整理します。

業界別・職種別の月収目安

日系企業の現地採用の月額基本給は、JETRO「2025年度 海外進出日系企業実態調査」(ベトナムの平均値・2025年8月時点)で次のとおりです。円換算は1USD=150円の目安です。

職種

月額基本給

円換算

年間実負担額

製造業・作業員

302USD

約4.5万円

5,270USD

製造業・エンジニア

538USD

約8.1万円

9,100USD

製造業・マネージャー

1,179USD

約17.7万円

19,379USD

非製造業・スタッフ

784USD

約11.8万円

11,959USD

非製造業・マネージャー

1,660USD

約24.9万円

25,385USD

年間実負担額は、基本給・諸手当・社会保障・残業・賞与などを含む1人あたりの年間合計(退職金を除く)です。月額基本給×12を3〜4割上回ります。ITエンジニアはこの表の製造業エンジニアより高く、次に見るITviecの調査が実態に近い水準です。

ITエンジニアの給与——経験1〜3年、5年以上、テックリード

ベトナムの求人サイトITviecが2024年9〜10月に2,324人を対象に行った調査「Vietnam IT Salary & Recruitment Market Report 2024-2025」では、給与の中央値は次のとおりでした(円換算は1VND=0.006円)。

職種(経験)

月給中央値(VND)

円換算

バックエンド(経験6年)

3,560万

約21万円

フロントエンド(経験6年)

3,050万

約18万円

DevOps(経験5年)

4,360万

約26万円

データエンジニア(経験6年)

4,410万

約26万円

テックリード(経験6年)

5,800万

約35万円

ソリューションアーキテクト(経験5.5年)

7,395万

約44万円

CTO/CIO級(経験8年)

9,600万

約58万円

日本の一般労働者の現金給与総額は月46万5,895円(厚生労働省「毎月勤労統計調査」2025年分結果速報)ですから、バックエンド・フロントエンドで2〜3分の1、テックリード以上では差がほとんどなくなります。ホーチミンで現地のIT企業と話していて実感するのは、優秀なシニアの争奪戦が激しいことです。日系・韓国系・欧米系が同じ人財を取り合い、リモートで欧米案件に就く英語人財も増えました。「IT人財は安く使える」という前提は、シニア層にはもう成立しないのが実情です。

日本語人財のプレミアムと管理職の相場

日本向けの開発に必要な日本語人財(N3〜N2以上)は、同じ経験年数でも日本語なしの人財より給与が高くなります。当社の人財データベースはN1〜N2の日本語人財が中心ですが、募集をかけたときの提示額は日本語なしの求人より明確に上です(当社の採用実務での実感)。管理職はITviecの調査でCTO/CIO級が月9,600万VND(約58万円)と、日本の管理職と大きく変わらない水準に達します。

現地給与とオフショア単価の関係

『給与が月15万円なのに、なぜオフショアの単価は40万円なのか』——この疑問はもっともです。答えは、単価が「給与」ではなく「総人件費+体制の費用」だからです。給与に法定費用・賞与・福利厚生・採用費が乗り、さらに日本語人財のプレミアム、日本人PMのフロント、欠員時の交代保証が加わります。給与相場が分かっても、それだけでは人件費は分かりません。次の章で、給与に何がどれだけ上乗せされるのかを計算します。

給与に上乗せされる費用——法定費用・賞与・福利厚生・離職コストで総人件費は額面の1.3〜1.5倍

給与明細と電卓でベトナムの総人件費を計算する経理担当者

ここが「額面だけ見ていると見落とす」部分です。ベトナムで人を雇うと、給与とは別に会社負担の法定費用が2割強、慣行としての賞与が年1〜3か月分以上、福利厚生と採用・離職コストが乗ります。合計すると、雇用主が実際に払う総人件費は額面の1.3〜1.5倍になるのが実情です。順に見ていきます。

法定費用——会社負担21.5%+労働組合費2%

ベトナム人従業員を雇用した場合、会社が負担する社会保険関係の法定費用は次のとおりです(2026年時点)。

保険種別

会社負担

従業員負担

備考

社会保険(労災保険料0.5%を含む)

17.5%

8.0%

社会保険法41/2024/QH15ほか

健康保険

3.0%

1.5%

失業保険

1.0%

1.0%

法定合計

21.5%

10.5%

12か月以上の契約で就労する外国人も同率

労働組合費(会社負担)

2.0%

政令191/2013/ND-CP。公的保険料の算定基礎賃金が対象

会社負担は合計23.5%です。月給1,000万VND(約6万円)のスタッフなら、法定費用込みで会社は約1,235万VND(約7.4万円)を毎月払います。個人所得税は従業員側の負担で、月次課税所得500万VND以下の5%から8,000万VND超の35%までの7段階の累進課税です。基礎控除は月1,100万VND、扶養控除は被扶養者1人につき月440万VND(個人所得税法04/2007/QH12、通達80/2021/TT-BTC)。

13か月目給与とテトボーナス

ベトナムでは年に1回「13か月目の給与」(月給1か月分)を支給する慣行がほぼ定着しており、支給しない会社は採用で不利になります。加えてテト(旧正月)前のボーナスが重視されます。JETROの2025年度調査では、ベトナムの賞与は基本給の月数で製造業の作業員1.6か月、製造業のエンジニア1.8か月、非製造業のスタッフ1.6か月でした。法律上の義務ではありませんが、事実上の固定費として予算に入れてください。

福利厚生と手当——社会保険調査の厳格化

法定保険に上乗せする民間医療保険、社員旅行、昼食補助、通勤手当、語学・資格の補助が一般的で、日系・外資系では採用の差別化要素になっています。有給休暇は労働法典第113条で、通常の条件で勤務する労働者は年12営業日、未成年・障害者・重労働や有害な業務に従事する労働者は14営業日、特に重労働・有害な業務では16営業日と定められ、第114条により勤続5年ごとに1日加算されます。

注意したいのは手当の扱いです。役職手当やランチ手当を基本給から切り出して社会保険料の算定基礎を圧縮しようとする会社がありますが、私が現地で見てきた限り、実態は基本給と見なされて是正を求められる例が出ています。手当で法定費用を圧縮する前提の計画は避けてください。

採用・教育・離職コスト——テト後の転職

見えにくいのが採用・教育・離職のコストです。人材紹介会社を使えば紹介料がかかり、教育には主力級の人財の時間が取られます。そして離職です。ベトナムではテトボーナスを受け取った後の2〜3月に転職市場が活発になります。私が現地で見てきた限り、給与に不満があれば動くのが若い世代の多数派で、日本的な終身雇用観は通用しません。1人辞めれば、再採用と再教育の費用がまるごと発生します。

計算例: 月給1,000万VNDのスタッフの年間総人件費

以上を月給1,000万VND(約6万円)の一般スタッフで積み上げると、次のようになります。

項目

月換算(VND)

計算根拠

給与(額面)

1,000万

法定費用(会社負担23.5%)

235万

1,000万×23.5%

13か月目給与

約83万

1,000万÷12

テトボーナス(1か月分と置いた場合)

約83万

1,000万÷12

福利厚生・手当

約50万

医療保険・昼食・通勤等の想定額

合計

約1,450万

額面の約1.45倍(当社の算出値)

月給1,000万VNDの総人件費の内訳——法定費用・賞与・福利厚生で額面の約1.45倍

年間では約1.74億VND(約104万円)で、額面×12の1.2億VNDを4割以上上回ります。JETROの調査でも同じ構図で、製造業作業員の月額基本給302USDに対して、諸手当・社会保障・残業・賞与を含む年間実負担額は5,270USDと、月給×12(3,624USD)の4割超になっています。エンジニアでは年間9,100USD、製造業マネージャーで19,379USD、非製造業スタッフで11,959USD(約179万円)です。

「額面×12」で予算を組むのは失敗のもとです。給与相場を見たら、必ず1.3〜1.5倍に直してから日本と比べてください。

アジア各国・日本との比較と今後の推移——賃上げ率と円安で「安い」は変わる

アジア各国の人件費比較グラフを見ながら議論する会議

ベトナムの人件費は、アジアの中ではまだ低い水準にあります。ただし賃上げのペースは中国・タイより速く、円安が重なって円建ての人件費は数年で2〜3割上がりました。この章では国別の比較、最低賃金の推移、為替、今後の見通しを整理します。いまの数字で5年計画を組むと必ず外れる、というのが結論です。

アジア各国との比較——JETRO調査の月額基本給

JETRO「2025年度 海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」(2025年11月26日公表)による、日系企業の職種別月額基本給の平均値です(2025年8月時点)。

製造業・作業員

製造業・エンジニア

製造業・マネージャー

非製造業・スタッフ

マレーシア

549USD

1,011USD

1,920USD

1,176USD

タイ

490USD

830USD

1,774USD

932USD

インドネシア

385USD

513USD

1,077USD

517USD

フィリピン

303USD

428USD

1,075USD

574USD

ベトナム

302USD

538USD

1,179USD

784USD

カンボジア

247USD

451USD

1,225USD

569USD

作業員はベトナムがマレーシアの半分強、タイの6割です。一方、非製造業スタッフ(784USD、約11.8万円)ではインドネシア・フィリピンを上回り、「ベトナムだから断然安い」とは言えなくなっています。同じ調査のベースアップ率(2025年→2026年・総数)はベトナムが5.5%で、インドネシア5.1%、タイ3.9%、中国3.1%を上回ります。「水準は低いが上昇テンポは速い」のが現状です。

最低賃金と給与の推移——改定のたびに6〜7%上がる

地域Ⅰ(ホーチミン・ハノイ都市部)の月額最低賃金の推移です。

適用時期

政令

地域Ⅰ最低賃金

前回比

2024年7月

74/2024/NĐ-CP

496万VND

+6.0%

2026年1月

293/2025/NĐ-CP

531万VND

+7.1%(全地域平均+7.2%)

改定のたびに6〜7%上がっており、据え置きになった年を挟んでも水準は切り上がり続けています。実際の給与は最低賃金より速く上がる職種が多く、統計総局の家計生活水準調査では1人あたり月間平均所得が前年比+9.1%、JETRO調査の日系企業のベースアップ率もベトナムは5.5%(2025年→2026年)で、アジアの中では高い部類です。

円安の影響——円建ての人件費はどう変わったか

VND建ての給与が同じでも、円安が進めば円建ての人件費は上がります。これに現地の賃上げが重なるため、数年前の見積もりや記事の円換算は、そのままでは使えません。本記事の円換算は1VND=0.006円・1USD=150円の目安です。逆に言えば、USD建てで単価を提示するオフショア会社の見積もりも、為替で円建て費用が動きます。契約時にどちらの通貨で固定するかは確認しておくべき点です。

今後の見通し——年5〜7%を織り込む

ベトナム統計局によると2025年の実質GDP成長率は8.02%、1人当たりGDPは5,026ドルで、成長が続く限り賃金も上がります。直近の最低賃金改定は+6.0%(2024年7月)、+7.2%(2026年1月)で、ベースアップ率も5.5%です。ホーチミンで現地の若い人財と接していて感じるのは、「給与に不満なら動く」が当たり前の市場だということです。賃上げしなければ辞める前提で、毎年5〜7%の自然増を織り込んだ3〜5年の計画を組むのが最低ラインです。では、上がり続ける人件費をどの形で使えば費用が読めるのか。次の章で3つの選択肢を比べます。

ベトナムの人件費をどう活かすか——オフショア開発・雇用代行・現地法人の費用の出方

日本とベトナムをつなぐオンライン会議で体制を相談する様子

同じベトナムの人財を使うにも、オフショア開発への委託、雇用代行(EOR)での現地雇用、現地法人の設立では、誰が法定費用・賞与・労務管理・欠員補充を負うかが違います。人件費の水準そのものより、この「費用の出方」の違いが総額を決めるのが実情です。当社の単価の内訳も含めて比べます。

3つの形の比較——誰が法定費用と労務を負うか

費用の出方

法定費用・賞与

労務管理・欠員補充

向いているケース

オフショア開発(ラボ型)

委託先の月額単価(すべて込み)

委託先が負担

委託先(交代保証あり)

開発案件、1名〜、最短2週間で開始

雇用代行(EOR)

給与+法定費用+代行手数料の月額

月額に含む(給与は自社が決める)

代行会社が雇用主。採用・評価は自社

法人なしで特定の人を直接雇いたい

現地法人

給与+法定費用+賞与+福利厚生+管理部門

自社が負担

自社(欠員は自社で再採用)

長期・多人数・現地で事業を行う

ベトナムの人財を使う3つの形——オフショア開発・雇用代行・現地法人の費用の出方

短期・少人数の開発ならオフショアか雇用代行、長期・多人数で現地に事業を置くなら法人、という順で考えるのが妥当です。法人設立は資本金・ライセンス・会計事務所・管理部門の固定費が乗るため、数名規模では総額が最も高くなりがちです。詳しくはベトナム法人設立の流れベトナムの雇用代行(EOR)で解説しています。

オフショア開発(ラボ型)——単価に何が含まれるか(当社の例)

当社のラボ型開発では、実務3年目安のエンジニアを月額1,500USD(約22.5万円)、5年目安を2,000USD(約30万円)、ブリッジSEを3,000USD(約45万円)で公開しています(1USD=150円換算目安)。この単価には、現地の給与(経験3年で1,500〜2,500万VND、約9〜15万円)に加えて、次が含まれています。

  • 社会保険等の法定費用(会社負担21.5%+労働組合費2%)と13か月目給与・テトボーナス
  • 日本語人財(N1〜N2)のプレミアムと、2,000名以上の人財データベースからの採用費
  • 日本人PMのフロント対応、稼働管理、月次のレポート
  • 欠員・不適合時のリプレイスメント保証と、最短1週間の増員体制

給与だけを見ると「2倍近く乗っている」ように見えますが、前章の計算どおり総人件費は額面の1.3〜1.5倍になり、残りが日本語・体制・保証の費用です。市場相場ではベトナムのプログラマーの単価は月40万円前後です(オフショア開発白書2025年版・オフショア開発.com、2026年9月21日確認)。1人月160時間で時給換算すると、当社の実務3年目安(1,500USD・約22.5万円、1USD=150円換算の目安)は約1,400円です。単価の妥当性は「高いか安いか」ではなく「何が含まれているか」で判断してください。内訳を出せない会社は要注意です。

雇用代行(EOR)——法人なしで現地雇用する

『特定の人を自社のメンバーとして直接雇いたいが、法人を作るほどではない』——その場合は雇用代行(EOR)です。代行会社が法律上の雇用主となって雇用契約・社会保険・給与計算・税務を行い、自社は採用の決定と業務指示を行います。費用は「給与+法定費用+手数料」の月額で、法定費用と賞与は自社が決めた給与に対して計算されます。法人設立の初期費用と管理部門の固定費が要らないので、1〜数名の現地雇用では法人より総額を抑えやすい形です。

現地法人——長期・多人数なら

10名以上を長期に雇い、現地で営業や製造も行うなら現地法人です。法定費用・賞与・福利厚生・労務管理をすべて自社で負う代わりに、人件費の中間費用はなくなります。ただし、テト後の離職と再採用、社会保険調査への対応、毎年の賃上げ交渉を自社で回す体制が前提です。

人件費の安さだけで選ばない——上昇前提・内訳・体制

どの形を選ぶにしても、押さえるべき点は3つです。年5〜7%の上昇と為替を織り込むこと、単価や月額の内訳を確認すること、欠員と品質を誰が保証するかを決めること。2018年から約100社と付き合ってきて、人件費の安さだけで選んだ体制が長続きした例をほとんど見ていません。内訳と体制で選ぶのが、ベトナムの人件費を活かす近道。

【FAQ】ベトナムの人件費に関するよくある質問

オンライン相談でベトナムの人件費の質問に答える担当者

ベトナムの人件費について、当社によく寄せられる質問をまとめました。個別の職種・人数・期間での概算は、現在の体制と要件をお聞かせいただければ無料相談でお答えします。

ベトナムの人件費は日本の何分の1ですか?

日系企業の現地スタッフの月額基本給は製造業の作業員302USD・非製造業のスタッフ784USD(JETRO 2025年度調査)で、日本の現金給与総額35万5,919円(厚生労働省・2025年分速報)と比べると3〜8分の1です。ITエンジニアは2〜3分の1、テックリード以上ではさらに縮まります。

ベトナムの最低賃金はいくらですか?

政令293/2025/NĐ-CPにより2026年1月1日から、地域Ⅰ(ホーチミン・ハノイ都市部)が月531万VND(約3.2万円)、地域Ⅱ473万VND、地域Ⅲ414万VND、地域Ⅳ370万VNDです。最低賃金は下限で、実際の給与はこれを大きく上回ります。

ベトナム人エンジニアの給与はいくらですか?

ITviecの調査(2024年・回答2,324人)では、バックエンド開発者(経験6年)の月給中央値が3,560万VND(約21万円)、テックリード(経験6年)が5,800万VND(約35万円)、CTO/CIO級(経験8年)が9,600万VND(約58万円)です。日本語ができる人財は同じ経験年数でも提示額が上がります。

社会保険の会社負担は何%ですか?

社会保険17.5%+健康保険3%+失業保険1%の合計21.5%に、労働組合費2%が加わり23.5%です(2026年時点)。従業員負担は10.5%です。

ベトナムの人件費は今後も上がりますか?

上がります。最低賃金の改定は2024年7月+6.0%、2026年1月+7.2%。JETRO調査の日系企業のベースアップ率もベトナムは5.5%(2025年→2026年)です。上昇を織り込んだ3〜5年の計画が前提。

まとめ: ベトナムの人件費は総人件費で見る——額面×1.3〜1.5、年5〜7%上昇、使う形で費用の出方が変わる

ベトナムの人件費は、2026年時点でも日系企業の現地スタッフで日本の3〜8分の1と低い水準にあります。ただし、それは統計の平均と最低賃金という「下限」の話です。ITエンジニアはバックエンド(経験6年)の月給中央値が3,560万VND(約21万円)で日本の2〜3分の1、テックリード以上ではさらに縮まります。そして給与には会社負担の法定費用23.5%、13か月目給与、テトボーナス、福利厚生、採用・離職コストが乗り、総人件費は額面の1.3〜1.5倍になります。ベースアップ率は5.5%で中国・タイより速く、円安が重なれば円建ての費用はさらに上がります。

行動に移すなら、次の順で進めてください。

  1. 職種別の給与相場を「額面×1.3〜1.5」の総人件費に直してから日本と比べる
  2. 年5〜7%の上昇と為替を織り込んだ3〜5年の計画にする
  3. 短期・少人数ならオフショア開発か雇用代行、長期・多人数なら現地法人、の順で形を選ぶ
  4. 単価や月額の内訳(給与・法定費用・賞与・日本語・体制・保証)を出せる相手を選ぶ

当社のラボ型開発は、実務3年目安のエンジニアを月額1,500USD(約22.5万円)で公開しており、法定費用・賞与・日本語人財・日本人PM・リプレイスメント保証まで含めた単価です。1名から最短2週間で開始でき、増員は最短1週間で対応します。現在の体制と要件をお聞かせください。ベトナムの人財を使う3つの形のどれが合うかを含め、概算見積もりでお答えします。

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