「外国人エンジニアを採用すると、結局のところ何が良くて、何が大変なのか」——採用担当の方から、こうした相談をよく受けます。役員からは「コストが下がるならやれ」と言われ、現場からは「日本語ができない人が来ても困る」と言われる。そのあいだで、稟議書に書けるだけの材料が見つからない。良いことしか書いていない記事ほど、かえって判断に使えないものです。
結論から言うと、メリットは4つ、デメリットは5つです。メリットは、母集団が採用競争の外側に広がる、国内で希少な技術領域の実務経験者に届く、多様性が設計とレビューの質を上げる、総人件費を抑えられる場合がある。デメリットは、在留資格の手続きと期限管理、日本語の壁、文化と評価制度のずれ、早期離職、受け入れ体制の追加コストです。このうち仕組みで短縮できないのは在留資格の審査期間だけで、残りの4つは設計で管理できます。
そしてもう一つ、多くの方が見落としている前提があります。外国人エンジニアの活用は「日本に呼んで雇う」だけではありません。現地に住んだまま雇う(雇用代行)、開発そのものを専属チームに委託する(ラボ型開発)という選択肢があり、目的が「人を自社で抱えること」ではなく「開発を進めること」なら、後者のほうが早く動きます。
本記事では、メリット4つの中身、デメリット5つと対処できるもの・できないものの切り分け、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の要件と手続きの流れ・採用チャネル、日本に呼ぶ/現地で雇う/開発を委託するの3択比較、よくある質問の順に解説します。メリットとデメリットは同じ粒度の表にまとめたので、社内資料にそのまま転記して使ってください。なお本記事は法的助言ではありません。個別の申請は行政書士や出入国在留管理庁にご確認ください。
私は人材業界の出身で、2018年からホーチミンでベトナムオフショア開発の体制づくりに携わり、約100社の相談に乗ってきました。この領域の相談で多い誤解は、「外国人だから安く雇える」と「採用とは日本に呼ぶことだ」の2つです。どちらも外して読み進めていただければ、自社にとって現実的な選択肢がどれなのか、読み終えるころには判断できるはずです。
目次
- 外国人エンジニア採用のメリット4つ
- メリット4の一覧表(何が得られるか・なぜ得られるか)
- 母集団と技術領域
- コストのメリットは「安く雇える」ではない
- 外国人エンジニア採用のデメリット5つと、対処できるもの・できないもの
- デメリット5の一覧表(何が起きるか・なぜ起きるか・対処)
- 唯一短縮できないのは審査期間
- 日本語と文化は「誰が窓口を持つか」の設計問題
- 早期離職と受け入れコスト
- 在留資格「技術・人文知識・国際業務」の要件と手続き、採用チャネル
- 技術・人文知識・国際業務の主な要件(2026年度時点の一般的な整理)
- 在留資格認定証明書から入社までの流れと、採用後の届出
- 採用チャネル4つの比較
- 日本に呼ぶ・現地で雇う・開発を委託する
- 3つの選択肢の比較表(立ち上がり・費用・人財の帰属・在留資格の要否)
- どれを選ぶか
- 当社の位置づけ(ラボ型開発と雇用代行)と、向く案件・向かない案件
- 外国人エンジニア採用のメリット・デメリットでよくある質問
- Q1. 初年度にいくらかかりますか?
- Q2. 日本語はどのレベルが必要ですか?
- Q3. 在留資格の手続きは自社でできますか?
- Q4. 日本に呼ばずに雇うことはできますか?
- Q5. 早期離職を防ぐにはどうすればよいですか?
- まとめ: メリットとデメリットを同じ粒度で並べ、3つの選択肢から目的に合うものを選ぶ
外国人エンジニア採用のメリット4つ——母集団、技術領域、多様性、コスト

外国人エンジニアとは、日本国籍以外の国籍を持ち、日本の企業でソフトウェア開発などの技術職に従事する人財を指します。経済産業省の試算ではIT人材は2030年に最大で約79万人不足するとされ、国内の採用市場だけで必要な人数を確保するのは年々難しくなっています。そうした状況で外国人エンジニアの採用が選択肢に入ってくるわけですが、メリットは「人数が増える」だけではありません。大きく4つに整理できます。
メリット4の一覧表(何が得られるか・なぜ得られるか)
No | メリット | 何が得られるか | なぜ得られるか |
|---|---|---|---|
1 | 母集団が採用競争の外側に広がる | 国内で半年募集して応募ゼロだったポジションに、候補者が現れる | 日本語が参入障壁になっており、外国人を対象にしている企業がまだ少ないため |
2 | 国内で希少な技術領域の実務経験者に届く | AI・機械学習、クラウド、モバイルなど、国内では候補者が薄い領域の実務経験者を採れる | 海外の大学・企業で先端領域の実務を積んだ人財の絶対数が多いため |
3 | 多様性が設計とレビューの質を上げる | 前提の異なる視点が入り、仕様の抜けや思い込みが早い段階で表面化する | 「言わなくても分かる」が通じない環境では、要件を言語化せざるを得なくなるため |
4 | 総人件費を抑えられる場合がある | 同じ予算でより広い技術領域をカバーできる。海外に置く体制なら人件費の水準自体が異なる | 日本国内の採用競争による報酬の高騰を、部分的に回避できるため |
この4つは、当社が外国人エンジニア採用の相談を受けるときに実際に挙がる論点を整理したものです。「グローバル展開の推進」を独立したメリットに数える整理もありますが、日本市場向けのシステム開発が中心の企業にとっては実感が薄いため、本記事ではメリット3(多様性)に含めて扱います。
母集団と技術領域——日本語が参入障壁になっているから競合が弱い
メリット1と2は同じ根から出ています。日本語という壁があるために、外国人エンジニアを採用対象にしている企業はまだ多くありません。つまり、同じスキルの人財を取り合う相手が少ないのです。国内向けの求人で半年間まったく応募がなかったポジションが、対象を広げた途端に複数の候補者が出てくる、というのはよくある話です。
技術領域の広さも見逃せません。ベトナムやインドをはじめ、IT人材の育成に国を挙げて投資してきた国では、クラウドやAIの実務を若いうちから積んでいるエンジニアが珍しくありません。当社が日常的に接している人財でも、AWS認定を複数保有し、業務でLLMを組み込んだ開発に携わっている層が厚くなっています。国内で「経験者がいない」と止まっている案件ほど、外国人エンジニアに広げる効果が大きいというのが実情です。
コストのメリットは「安く雇える」ではない——同等額以上の報酬が要件
ここは最も誤解が多いところなので、先に釘を刺しておきます。日本で外国人エンジニアを雇用する場合に使う在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を支払うことが要件です。つまり「外国人だから安く雇える」という前提そのものが、在留資格の要件に反します。役員の方からこの発想で相談を受けることがありますが、その方向で進めると許可が下りないか、下りても後から問題になります。失敗のもとです。
では、メリット4の「総人件費を抑えられる場合がある」とは何を指すのか。2つあります。1つは、国内の採用競争で釣り上がった相場ではなく、本来の職務内容に見合った水準で合意しやすいこと。もう1つは、日本に呼ばず海外に置いたまま働いてもらう体制を選ぶ場合、そもそも人件費の水準が日本と異なることです。たとえば当社の公開単価では、実務3年目安のエンジニアが月額1,500USD(約22.5万円、1USD=150円換算目安)からです。これは日本で雇用する場合の代替価格ではなく、体制そのものが違う別の選択肢の価格だと理解してください。
ここまでがメリットです。ただし、これらは「デメリットを引き受けたうえで」得られるものです。次章では、避けて通れない5つのデメリットを、同じ粒度で並べます。
外国人エンジニア採用のデメリット5つと、対処できるもの・できないもの

デメリットを並べる目的は、採用をやめる理由を探すことではありません。どれが設計で管理でき、どれが構造上どうにもならないかを切り分けることです。結論から言えば、仕組みで短縮できないのは在留資格の審査期間だけで、残る4つは受け入れ体制の設計で小さくできます。稟議書ではこの切り分けを示すと、話が前に進みます。
デメリット5の一覧表(何が起きるか・なぜ起きるか・対処)
No | デメリット | 何が起きるか | なぜ起きるか | 対処 |
|---|---|---|---|---|
1 | 在留資格の手続きと期限管理 | 在留資格認定証明書の交付申請は標準処理期間が1か月〜3か月。更新漏れは不法就労につながる | 国境をまたぐため、企業の努力では短縮できない審査工程が入る | 採用計画を審査期間の分だけ前倒しする。申請は行政書士に委託する。在留期限を一元管理しアラートを設定 |
2 | 日本語の壁 | 仕様の解釈がずれる。設計レビューや障害報告で確認の往復が増える | 業務上の日本語は日常会話と別物で、資格の級では測りきれない | ポジション別に日本語力の基準を決める。日本語の窓口を担う人(社内のリーダーまたは外部のブリッジSE)を1人決める |
3 | 文化と評価制度のずれ | 報連相の頻度、残業観、フィードバックの受け取り方が噛み合わない。評価が不透明だと不満が出る | 「察する」前提の運用は明文化されておらず、共有できないため | 期待する動き方を文書化する。評価基準と昇給ルールを同一条件で明示する。異文化理解の研修は受け入れる側にも実施 |
4 | 早期離職 | 入社後まもない時期の離職。育成後にキャリアアップで転職される | 生活面の困りごとと職場での孤立、そしてキャリアパスが見えないこと | 入社前から入社直後までの受け入れを設計(メンター、週1の1on1、生活支援)。昇進とスキルアップの道筋を入社時に提示 |
5 | 受け入れ体制の追加コスト | 人材紹介の手数料、手続き費用、渡航・住居の初期費用、社内の英語化や翻訳ツールの整備 | 日本人採用にはない工程が加わるため | 国内在住者を採用すれば渡航・住居費は不要。助成金の活用。海外に置く体制を選べばコスト構造自体が変わる |

ビザ申請の委託費用も、海外から招へいする場合の渡航・住居費用も、公開された一次統計がないため本記事では金額の目安を示しません。ただし発生する費目そのものは決まっているので、稟議書では「年収+手数料+初期費用」の3段構えで見積もっておくと、あとで足が出にくくなります。
唯一短縮できないのは審査期間——在留資格認定証明書の標準処理期間は1か月〜3か月
デメリット1だけは性質が違います。出入国在留管理庁が公表する在留資格認定証明書(COE)交付申請の標準処理期間は1か月〜3か月、その後の査証申請は外務省の標準処理期間で申請受理の翌日から起算して5業務日です。行政書士に委託しても、社内の体制を整えても、この時間は基本的に縮みません。
ここを甘く見積もると、事業計画が丸ごとずれます。「4月に人が増える前提で見積もりを出した」案件が、実際の入社が7月になって破綻する。私が相談を受ける中でも、在留資格まわりの失敗はこの一点に集中しています。対策は単純で、採用計画を審査期間の分だけ前倒しすること、そして「待っている間の開発をどうするか」を同時に決めておくことです。後者の答えが、後半で扱う3つ目の選択肢につながります。
日本語と文化は「誰が窓口を持つか」の設計問題
デメリット2と3は、現場から最も強く反対が出るところです。ただ、これは能力の問題というより設計の問題だと考えています。日本語能力試験のN2を持っていても業務の会話に苦労する人がいれば、級は低くても現場で十分に通じる人もいます。資格で線を引くのではなく、「誰が日本語で仕様を詰めるのか」を1人決めてしまえば、残りは英語や図で回せる部分が大半です。
当社の開発体制でも、言語差を人の努力ではなく仕組みで吸収しています。日本人PMが設計レビューを行い、Gitのプルリクエストでコードレビューを標準化し、リリース前にダブルチェックを入れる。この3点があると、日本語での説明が多少ぎこちなくても、成果物の品質は安定します。文化の面でも、期待する報連相の頻度や優先順位の決め方を文書にしておくと、「察してもらえない」という不満はかなり減ります。なお、受け入れる日本人側の理解も同じだけ必要で、片側だけに適応を求める運用は要注意です。
早期離職と受け入れコスト——入社直後の受け入れと、同一条件の評価
デメリット4は、投資が回収できるかどうかに直結します。分かれ目になるのは入社直後の受け入れです。メンターを付け、週1回の1on1を設け、住居や役所の手続きといった生活面の困りごとを拾う。この3つを入社直後に実行できるかどうかで、定着率は大きく変わります。
もう一つが評価とキャリアパスです。外国人エンジニアはキャリアアップ志向が強いとよく言われますが、実際に話を聞くと「昇給の条件が分からない」ことへの不満が根にあります。昇給・昇進の基準を日本人と同一条件で明文化し、入社時に提示する。これは制度の整備という意味では手間ですが、日本人社員の定着にも効きます。デメリット5の追加コストも同じで、受け入れ体制の整備は外国人採用のためだけの投資ではなく、採用力そのものへの投資になる。そう捉えられるかどうかが、この選択肢を続けられる企業と続かない企業の差だと感じています。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」の要件と手続き、採用チャネル

デメリット1(在留資格の手続き)は、知らないから怖いという部分が大きい領域です。全体像と期間、そして誰が何をやるのかが分かれば、自社でやるか外部に委託するかを判断できます。ここでは2026年度時点の一般的な整理として、要件・手続きの流れ・採用チャネルを要点に絞って示します。なお本記事は法的助言ではありません。個別の申請可否や書類の要否は、行政書士や出入国在留管理庁にご確認ください。
技術・人文知識・国際業務の主な要件(2026年度時点の一般的な整理)
エンジニア採用で使う在留資格は、実務上ほぼ次の2つに絞られます。
在留資格 | 主な要件 | 在留期間 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
技術・人文知識・国際業務 | 関連分野の大学(短大含む)卒業または専門士、もしくは10年以上の実務経験。日本人が従事する場合と同等額以上の報酬 | 5年・3年・1年・3か月 | エンジニア採用で最も一般的 |
高度専門職1号(ロ) | 学歴・職歴・年収・年齢・日本語能力などのポイント合計が70点以上 | 5年 | 永住申請までの期間短縮、親や家事使用人の帯同など優遇あり |
実務で押さえる点は3つです。第1に、学歴または実務経験と、実際に担当する業務内容に関連性が必要であること。情報工学系の学位か、10年の実務経験が一般的な入口になります。第2に、報酬は日本人と同等額以上であること。前章で触れたとおり、ここが「安く雇える」という誤解の反証になります。第3に、在留資格の範囲外の業務には従事させられないこと。エンジニアとして許可を得た人に、現場作業や単純作業を継続的に命じることはできません。
在留資格認定証明書から入社までの流れと、採用後の届出
海外在住の候補者を日本に呼んで雇用する場合、流れは次のようになります。
- 内定・雇用契約の締結——本人が理解できる言語で労働条件を明示する
- 在留資格認定証明書(COE)の交付申請——企業が勤務地を管轄する地方出入国在留管理局へ申請。標準処理期間は1か月〜3か月(出入国在留管理庁)
- 査証(ビザ)の申請——交付されたCOEを本人に送り、本人が母国の在外公館で申請。標準処理期間は申請受理の翌日から起算して5業務日(外務省)
- 入国・在留カードの交付——上陸時に在留カードが交付される。住居地の届出を行う
国内に在住している留学生や転職者を採用する場合は、COEではなく在留資格変更許可申請(留学から技術・人文知識・国際業務へ等)になり、期間はより短くなります。いずれの場合も、在留カードの原本で就労の可否と在留期限を必ず確認してください。
採用後にやることは3つです。雇い入れと離職の際にハローワークへ外国人雇用状況の届出を行うこと、在留期限を一元管理して更新申請(期限の3か月前から可能)を漏らさないこと、在留資格の範囲外の業務を命じないことです。人材紹介の仕事で日系企業の採用を支援してきた経験から言うと、トラブルは採用時ではなく、この更新期限の管理漏れから起こります。担当者が異動すると引き継がれない、というのが典型です。
採用チャネル4つの比較——人材紹介・直接採用・留学生/リファラル・送り出し機関と現地DB
チャネルの選択は、費用とスピードと「手続きを誰がやるか」のトレードオフです。
チャネル | 特徴 | 手続きの負担 | 費用感 |
|---|---|---|---|
人材紹介(外国人採用に特化) | 即戦力を短期間で確保。在留資格の実務にも詳しく、行政書士と連携していることが多い | 小さい(多くを委託できる) | 成功報酬型が中心(料率は各社の規定による) |
直接採用(求人サイト・ダイレクトリクルーティング) | 母集団は広い。LinkedInなどで直接アプローチできる | 大きい(自社または行政書士に依頼) | 掲載費または成果課金 |
留学生採用・リファラル | 日本語と生活適応が早い。在籍する外国籍社員の紹介は定着しやすい | 中(在留資格変更が中心) | 低コスト |
送り出し機関・現地の人財データベース | 現地で面談し、日本での勤務を志望する層から選べる | 事業者により異なる | 事業者により異なる |
当社の場合、グループの人材紹介事業が持つ2,000名以上のIT人財データベース(日本語N1〜N2相当を含む)から候補者を提示し、日本語通訳が同席するオンライン面談を約1週間で設定できます。協力会社を経由しないため、仲介マージンは乗りません。
ここまでで、日本に呼んで雇う場合の実務は見通しが立ったはずです。では、この手続きと待ち時間を引き受けてでも、日本に呼ぶべきなのでしょうか。次章で、ほかの2つの選択肢と並べて比べます。
日本に呼ぶ・現地で雇う・開発を委託する——3つの選択肢の比較

外国人エンジニアの力を借りる方法は、日本に呼んで雇う以外に2つあります。現地に住んだまま雇用する「雇用代行(EOR)」と、専属チームに開発そのものを委託する「ラボ型開発」です。この3つは費用の構造も立ち上がりの速さも違うため、項目ごとに比べるのではなく、自社の目的に照らして選ぶものだと考えてください。
3つの選択肢の比較表(立ち上がり・費用・人財の帰属・在留資格の要否)
項目 | 日本に呼ぶ(雇用) | 現地で雇う(雇用代行・EOR) | 開発を委託する(ラボ型) |
|---|---|---|---|
契約の形 | 自社と本人の雇用契約 | EOR事業者が現地で雇用し、自社は業務委託等で受け取る | 開発会社と準委任契約 |
在留資格の要否 | 必要(技術・人文知識・国際業務など) | 不要 | 不要 |
立ち上がりの目安 | COE交付申請の標準処理期間1か月〜3か月を含む | 数週間〜1か月 | 最短2週間 |
主な費用 | 年収+人材紹介の手数料+渡航・住居+手続き費用+社会保険 | 現地給与+現地の法定費用+EOR手数料 | 月額単価(手数料込み) |
人財の帰属 | 自社 | 実質的に自社(指揮命令の設計に注意) | 開発会社 |
働く場所 | 日本 | 海外 | 海外 |
向く目的 | 人を自社に抱え、社内にノウハウを残したい | 現地の人財を長期で確保したいが法人は作りたくない | 開発を早く進めたい。チームごと外に置いてよい |

費用の水準を1つの目安で示すと、当社の公開単価では実務3年目安のエンジニアが月額1,500USD(約22.5万円)、5年で2,000USD、10年目安のブリッジSEで3,000USDです(1USD=150円換算目安)。日本人PMがフロントに立つ最小構成なら、2〜3人月で月額約80万円からになります。当社調べでは市場相場の約1/2で、2,000名以上の人財データベースから直接アサインし、協力会社を挟まないためこの水準が出せます。
どれを選ぶか——目的が「人を抱える」か「開発を進める」かで分かれる
判断の分かれ目は1つです。目的が「自社に人財を抱え、ノウハウを社内に残すこと」なら、時間と手続きを引き受けて日本で雇用するか、雇用代行で現地に置くかの二択になります。一方、目的が「今ある開発を前に進めること」なら、ラボ型のほうが早く、途中でやめる判断もしやすい。
現実的には、併走させるのが最もうまくいきます。採用活動は在留資格の審査期間を織り込んだ前提で進めつつ、その待ち時間の開発をラボ型で動かす。入社後は社内メンバーとラボ側で役割を分ける。私が相談を受ける案件でも、「採用が決まるまでの半年をどうするか」から始まってラボ型を選ばれるケースが少なくありません。逆に、採用は不要でラボだけで回っている企業もあります。
当社の位置づけ(ラボ型開発と雇用代行)と、向く案件・向かない案件
当社が提供しているのは、この3つのうちラボ型開発と雇用代行です。日本での採用そのものを代行するサービスではありません。体制は、日本人PM/ブリッジSEを置くパターンAと、エンジニアのみのパターンBの2つ。1名から契約でき、最短2週間で開始、増員は約1週間、縮小や交代は1か月単位で調整します。流れは打ち合わせ→アサイン(約1週間)→候補者面談(約1週間)→開始で、候補者と面談してから決められます。契約と支払いは日本国内法人・日本法準拠で、海外送金は不要です。
実例を1つ挙げると、介護記録SaaS「CareViewer」では、日本語ブリッジSE1名とフルスタックエンジニア2名の体制で継続開発を回しています。在留資格の手続きを挟まずに、週次の優先順位判断だけで開発が進み、コストは従来の半分以下になりました。「想像以上にエンジニアのレベルが高い」という声をいただいています。ベトナム側の運用上の注意としては、時差が2時間、祝日は2026年で年12日(労働法112条の法定は11日で、2026年からベトナム文化の日が加わります)、テト(旧正月)休暇が2026年は2月14日から22日である点を、計画に織り込んでおく必要があります。
一方で、向かない案件も率直にお伝えします。社内に人財を残し育てることが目的の場合、日本で雇用するか雇用代行を選ぶべきで、ラボ型は適しません。顧客先への常駐や日本国内での対面対応が必須の業務、機密上データを国内から出せない案件も同様です。要件が完全に確定した単発の開発であれば、請負のほうが合理的です。自社の目的がどれに当たるかを先に決めてから、選択肢を絞ってください。
外国人エンジニア採用のメリット・デメリットでよくある質問

外国人エンジニアの採用について、相談の場で繰り返し聞かれる質問を5つにまとめました。社内説明の補足にもお使いください。
Q1. 初年度にいくらかかりますか?
日本で雇用する場合は、年収に人材紹介の手数料、渡航・住居の初期費用、手続き費用、社会保険の企業負担が加わります。これらの金額は公開された一次統計がないため本記事では示しませんが、年収だけを見て比べると初年度は必ず足が出ます。開発を委託するラボ型なら、当社の公開単価で実務3年目安のエンジニアが月額1,500USD(約22.5万円、1USD=150円換算目安)からです。
Q2. 日本語はどのレベルが必要ですか?
ポジションによります。社内に日本語の窓口があり開発に専念してもらうならN3程度から、顧客やPMと直接やり取りするならN2以上、ブリッジSEやリーダーならN1〜N2が目安です。ただし資格の級と実務の会話力は別物なので、面接で実際に日本語で業務説明をしてもらって確認してください。
Q3. 在留資格の手続きは自社でできますか?
申請自体は企業が行えますが、初めての場合は行政書士への委託をお勧めします。委託費用は事務所ごとに異なりますが、書類の不備による再申請のリスクを考えると割に合います。なお本記事は法的助言ではありません。個別の申請可否は行政書士や出入国在留管理庁にご確認ください。
Q4. 日本に呼ばずに雇うことはできますか?
できます。現地に住んだまま雇用する方法が雇用代行(EOR)で、在留資格は不要、立ち上がりは数週間から1か月程度です。開発を進めることが目的なら、専属チームに委託するラボ型のほうが早く、当社では1名から最短2週間で開始できます。
Q5. 早期離職を防ぐにはどうすればよいですか?
入社直後の受け入れ設計と、昇給・昇進基準の明示の2つです。メンターを付け、週1回の1on1で業務と生活の両面を拾い、日本人と同一条件の評価基準を入社時に文書で渡す。加えて、ベトナム人であればテト(2026年は2月14日〜22日)に帰省できる休暇の運用を最初に握っておくことが、長く働いてもらうための最低条件。
まとめ: メリットとデメリットを同じ粒度で並べ、3つの選択肢から目的に合うものを選ぶ
外国人エンジニア採用のメリットは、母集団が採用競争の外側に広がる、国内で希少な技術領域の実務経験者に届く、多様性が設計とレビューの質を上げる、総人件費を抑えられる場合がある、の4つです。デメリットは、在留資格の手続きと期限管理、日本語の壁、文化と評価制度のずれ、早期離職、受け入れ体制の追加コストの5つ。このうち仕組みで短縮できないのは在留資格の審査期間だけで、在留資格認定証明書の標準処理期間である1か月〜3か月を見込む必要があります。残る4つは、日本語の窓口を1人決める、期待する動き方と評価基準を同一条件で明文化する、入社直後の受け入れを設計する、といった準備で管理できる範囲に収まります。
そして、外国人エンジニアの力を借りる方法は日本に呼ぶことだけではありません。現地に住んだまま雇用する雇用代行(EOR)は在留資格が不要で数週間から1か月、開発そのものを専属チームに委託するラボ型開発なら最短2週間で動き出せます。当社が提供しているのはこの2つで、日本人PMをフロントに置き、2,000名以上のIT人財データベースから直接アサインし、公開単価は実務3年目安で月額1,500USD(約22.5万円、1USD=150円換算目安)、日本人PMを含む最小構成で月額約80万円からです。社内に人財を残すことが目的なら日本での雇用か雇用代行を、開発を早く進めることが目的ならラボ型を選んでください。
なお本記事は法的助言ではありません。在留資格の個別の申請可否や必要書類は、行政書士または出入国在留管理庁にご確認ください。採用の手続きや選考設計の詳細は外国人エンジニアの採用、海外に住んだまま雇う方法はEOR(雇用代行)とはもあわせてご覧ください。現在の体制と要件をお聞かせいただければ、採用・雇用代行・ラボ型のどれが合うかの判断と概算見積もりでお答えします。合わない案件にはその旨も率直にお伝えします。